君が幸せかどうかとか
僕の幸せが何なのかとか
みんながどう思ってるのかとか
ホントはどうでも良かったんだ
UNLIMITED
「活動を休止する!?」
沢山のアーティストとスタッフの声で賑わっていた控え室が、僕の声に一瞬で静まり返った。
「冗談・・・だよね?
あはは、タイマーったら本当ひょうきんなんだからー。」
「本気だよ。今月いっぱいで、芸能活動を止める。」
彼にしては珍しく落ち着いていて、本気のまなざしだ。
突然切り出された活動休止宣言。
どうやら、冗談ではないらしい。
「・・・・どういう事だよ!
今回の新曲だって人気絶頂!なにが不満だっていうの!?」
怒りと不安がこみ上げながらも、怒らないようにこらえ、笑顔で接する。
「アイスには悪いと思ってるよ。
今まで僕の事ずっと支えてくれてたんだし。」
苦笑いでも悪ふざけな笑顔でもなく、真剣で、どこか冷たい声と表情。
「だったら、なんで急にそんな事言うの?
今までだってずっと上手くいってたんだから、これからだって・・・!」
「上手くいってたのは認めるよ。本当に楽しかった。」
「終わりみたいな言い方止めてよ、僕、まだまだタイマーのこと上に」
「アイスさ、初めて会った頃と変わったよね。」
「・・・・え?」
「・・・・・なんでもない、とにかく、もう止めるから。」
「ちょっと待ってよ!!理由は!?止めた後はどうするつもりなの!?」
「・・・・理由は・・・言いたくない。止めた後は、適当にやるよ。」
「なんだよそれ!!そんなの納得できない!マスコミにはどう説明しろっていうんだよ!!」
「そんなに、世間の反応が気になるの?」
「ッ、別に、そういう訳じゃないけど・・・」
険悪した空気。
周りのみんなも何も言わず、ただ、嫌な時間が流れた。
「・・・・・・・続ける意味が分からないから。」
「え?」
いつもの彼からは想像できないくらい悲しみに満ちた声がした。
「・・・アイドルって、やってる意味わかんないんだもん。
だから止める。ごめんね、ホントに。それじゃ。」
寂しげで、今にも泣きだしそうな笑顔でそういい残し、タイマーは部屋から出て行った。
「・・・・・・・なんだよ・・・・それ・・・・・・・・・・。」
タイマーと喧嘩したのは別にこれが初めてじゃなかった。
活動を止めたいと言われたのも初めてじゃない。
過度な出演スケジュール、人間関係のもつれ、デマによる人気の低下。
沢山の困難を乗り越えてきた。
だからこそ今があって、
しっかりした立場に安定していて、
それで、タイマーも幸せだって思ってた。
『エントリーナンバー6番!
タイマーです。特技は歌う事と踊る事。それから...』
僕が事務所に入社したての頃、
オーディションで楽しそうに歌を歌うタイマーに惹かれて、彼のプロデュースを祈願した。
『君が今日から僕のプロデューサーさん?よろしくねv』
歌から感じられた明るさや気さくさ通り、タイマーは人としても優れていた。
『へー、キーボード弾けるんだ。
すっごーい!ね!僕の曲も作ってよ!』
そんな彼が僕の事を必要としてくれたから、僕も頑張ろうと思えた。
誰かの為に曲を作る。
誰かが僕の曲を歌ってくれる。
それが何より嬉しかった。
『それじゃーみんな、行っくよー!デビュー曲、「ROSE
〜恋人よ、薔薇色に染まれ〜」!!』
僕の作る曲とタイマーとの相性は抜群で、タイマーはたちまち大スターになった。
それから色んな事があったけど、今も人気絶頂で、本当に不満な事なんて何もないはずだ。
本当、何が不満だっていうんだよ・・・・・・・・・・・。
「アイス?」
「っ!タイマー!?」
「うお?」
急に声をかけられ、振り向くとそこにはショルキーさんが居た。
「どーしたんだよ、タイマー?喧嘩でもしたのか?」
「あ・・・・ごめん・・なさい・・・、ちょっと・・考え事し」
「引退の事か?」
「!
・・・・はい。って、あれ?ショルキーさんさっきあの部屋居ましたっけ?」
「・・・や、俺結構前から知ってたんだ。」
「え?」
「相談があるって言われて、それで聞いてた。」
「・・・・なんで僕じゃなくてショルキーさんに・・・?」
「・・・・・・活動止める理由、聞いてねーの?」
「・・・『やってる意味が分からないから』・・・って聞きました。」
「うん。それ、どういう意味だと思う?」
「・・・・・・今の人気に不満があるって事じゃないんですか?」
「・・・・本当に、それがお前の答え?」
「・・・・・・・・・・・・・・分かりません。」
「俺とタイマーだったら、どっちの方がお前の事知ってるんだろうな。」
「・・・?」
「・・・・『愛してると求めないで、疑うなら瞳を閉じて』」
「・・なんですかいきなり」
「聞き覚えあるフレーズだろ?」
「聞き覚えも何も、『UNLIMITED』、新曲の歌詞です。」
「そ。UNLIMITED。2人で作った曲なんだってな?
で、ここはお前の作った部分で・・・・誰に宛てた想いだ?」
「・・・え・・・?」
「俺から言える事は以上だ。
お前ももっと素直になった方がいいぜ!じゃーな!」
「え?え、ちょ、ちょっと・・・!!」
そう言い残しショルキーさんは部屋を後にした。
UNDIMITED・・・・。
どういう事・・・・・・・?
そういえばタイマー、僕が昔と変わったとか言ってたっけ。
それも理由なのかな。
・・・・でも、どこが変わったのかなんて自分じゃ分からないし・・・・・・。
「アイス?」
「あっ、ショルキーさん?さっきのってどういう」
「ん?ショルキーさん?」
「っ!タイマー!」
「・・・にゃーん?」
「む、タイマぁー?」
「あははっ、ごめんごめんwなんかしかめっ面だったからw」
「もー、こっちは真剣に悩んでるっていうのに・・・・。」
「あはははー。
・・・・横、座っていい?」
「・・・うん。」
こうして2人だけでゆっくり椅子に座るのなんて、いつ以来だろう。
「・・・・ね、タイマー。」
「・・・・何?」
「活動休止って、本気なんだよね?」
「・・・・・・うん。」
「それって、僕が原因?」
「・・・・・・それもあるかな。」
「・・・・そっか。
他は・・・芸能活動、楽しくなくなっちゃったとか?」
「そんな事ないよ、みんなと一緒に色んな事できて、本当に楽しかった。」
「じゃぁ、なんで止めるなんて・・・・・・。」
「・・・・・・・人気ってさ、終わりが無い単位なんだよね。」
「・・・・?」
「僕は別に、人気者になりたいわけじゃなかった。
けど、みんなが僕の事を好きになってくれて本当に嬉しかったよ。」
「・・・タイマーは人に好かれる性格だからね。」
「でも、僕だって一人の人間だよ。」
「・・・・・・・人気に疲れたの?」
「違う!!
・・・・僕は・・・ただ・・・ただ・・・・・・・。」
「・・・?」
「・・・アイスって・・・・さ、嫉妬しない性格だよね・・・。」
「え?あ、もしかして、タイマーの人気に嫉妬して欲しかったの?だったら」
「じゃなくって、・・・僕が、アイスの事好きなのは知ってるよね?」
「・・・うん。」
「だから、もしアイスが人気者になったら、僕は凄く寂しいんだ。」
「・・・・・・?」
「アイスには僕にだけ笑ってて欲しいし、僕の事だけ見てて欲しい。
だから、見てもらえるように頑張ってきた。
けど、アイスには、僕がアイドルとしてしか写ってない。」
「だって、タイマーは実際アイドルじゃ」
「アイスにはッ!!
・・・一人の人として、見て欲しい。
一人の人として見て、プロデューサーじゃなく、ただのアイスとして・・・・僕のそばに居てよ・・・。」
「・・・タイマー?」
「昔は仕事以外でも一緒に出かけたり食事したり、お互いの夢話し合ったりしたじゃんか。
なのに、今のアイスは僕の事商品みたいに見て、プライベートでは一緒に居てくれなくなって」
「それは、仕事以外でくらいゆっくりしてもらおうと思って」
「『売れればそれでいい』、それが僕の幸せだって勝手に決め付けてる。」
「・・・・・・・・ごめん・・・」
「・・・・・ううん、こっちこそ・・・・ごめん。
アイスが僕の為に頑張ってくれてる事は分かってるのに・・・・こんな風にしか答えれなくて・・・・。」
「・・・・・・・」
「僕、どうしようもなくアイスの事好きなのに、
どうしたら一人の人として見えもらえるのか分かんなくって・・・・・子供みたいに・・・・こんな・・・・。」
「・・・・あ。」
「?」
「『愛してると求めないで、疑うなら瞳を閉じて』」
「・・・UNLIMITED・・・?」
「・・・ここさ、この部分の歌詞。僕が書いたところ。」
「・・・・うん。」
「誰に宛てたとか、そういうの深く考えてなかったけど、
無意識にタイマーに宛てた想いだったのかもしれない。」
「・・・・・・え・・・?」
「・・・・・愛してると求めないで。疑うなら瞳を閉じて。」
「・・・・・・目・・・・閉じたら何かしてくれる・・・・?」
「・・・・キスするかもね。」
「え・・・えええ?///」
「あははっ、冗談v」
「ええええ?;」
「閉じなくていいよ。
・・・・そっちから閉じなくても」
ありのまま、
君のまま、
ただ僕は、君をみんなに自慢したかったのかもね。
・・・でも、もう周りなんて気にしない。
「愛してるよ、タイマー。」
数日後、タイマーは宣言通り活動を休止した。
けど、休暇という形で、復帰はなんと再来月。
たった1ヶ月の休止なのに、ファンの皆は大騒動。
休み中に何をしていたかっていうのは・・・・・まぁ、他愛も無い事ばかりで。
「アイスー!アイスー!」
この騒動でまた一つ分かった事は
「タイマー声大きい!;ファンの人に見つかるよー;」
結局タイマーも僕もまだまだ子供で
「むー、でも折角のデートなのにローテンションじゃつまんないよ?」
好きの気持ちさえ上手く表現できなくて
「活動再開後も月1は日あけるからそんなにはしゃがないの!」
でも、確かにお互いを求めてて
「本当!?わーいvv」
果てしなく、上限なんて決めれないほど
「ありがとうアイスvv」
お互いを愛してたって事。
「だーい好きvv」
END
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アイタイアイ!会いたい愛(・ω・)(何
タイアイよりアイタイアイ、アイタイよりアイタイアイが好きです。
アイスはなんだかんだでタイマーに依存してて、
タイマーはアイスっこなんです。
〔09/05/31〕